何よりも、Social Impactを。Oxford Said Business School訪問記

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MBAは米国発ということもあり、あまりメジャーではなかったりしますが、オックスフォードにもSaid Business Schoolというビジネススクールがあります。まだ歴史が新しいこともあってFTのランキング##等では上位に来ないものの、Social Entrepreneurshipというテーマを押していることは前に耳にしたことがあって興味を持っていたので、今回在校生の方にコンタクトとってお話を聞かせて頂きました。

お話の中で印象に残ったことを書いてみます。理解が足りてない部分もあるかもしれませんが、まぁ参考程度にしていただければと思います。オックスフォード大学全体を訪問してみての感想はこちらをどうぞ。

 

コンテンツは以下。

#1年制であること
#分野を越えた交流
#Social Impact
#オックスフォードを出てもイギリス就職は難しい。

 

#1年制であること

米国のMBAが基本的に2年制である一方で、ヨーロッパには1年制のビジネススクールが多くあります。欧州で有名な1年制の学校は同じく英国のCambridge、フランスのINSEADやスイスのIMDなど。London Business Schoolも有名ですがこちらは基本的に2年の様です。

1年制であるため、2年制に比べて短期間で修士号の取得が可能です。そのため学費・生活費が2年制よりも安くすみます(半分、というわけにはいかないそうだけど)。またこの年になって2年も学生は、、という考えの人も多く在校生の年齢層が高めなのも特徴です(HBS:平均26歳、Oxford:平均29歳)。また国籍が豊かだということ。欧州のビジネススクールに共通しているのかもしれないですが、米国ビジネススクールだと半数近くを米人が占める一方でOxfordではInternationalの比率が8割を超えていて、国籍豊かな学生が学んでいるそうです。 

余談:上に挙げた大学の大雑把なイメージは、OxfordがSocial Entrepreneurship, Cambridgeがベンチャー、LBSがファイナンス、INSEADがコンサル、IMDがリーダーシップという感じだそうです

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教室の写真。約250名が3クラスに分かれて授業を受けるそう。

#分野を越えた交流

INSEADやIMD、LBSといった学校がビジネススクール単体で存在している一方で、OxfordとCambridgeのビジネススクールは総合大学の中に存在しています。そのため、ビジネスだけでなく他の分野の学生との交流やイベントへの参加が可能ということが大きな特徴の一つになっています。まずはOxfordやCambridgeに特有のカレッジ制度。日本の大学制度からすると変な感じがしますが、カレッジ制度のもとでは、厳密には学生はオックスフォードではなくてオックスフォードの中に存在する38のカレッジのどれかに所属することになります。そこでは基本的に様々な学部の学生が集って、ご飯を食べたり住んでいます。図書館もカレッジごとにあります。授業もカレッジ毎に実施されることもある学部生に比べると、修士の学生は基本的には学部に所属するので帰属感はやや少ないようですが、それでもMBAの学生はMBAで、と一つにされるのでなく一学年250人ほどが多くのカレッジに散らばることになります。それゆえMBAの学生だけでなく、様々な分野の学生との交流が可能になります。年数回、学部を越えて一緒にプロジェクトを行う機会もあるそうです(任意参加)。またOxford全体のイベントとして、様々な有名なスピーカー(大統領から俳優まで)が度々大学を訪れ、自由に参加が可能とのこと。単科大学の中でMBAの学生と深く議論するのも面白そうですが、総合大学の中にある強みを活かして多様な学問に触れる機会があるというのは非常にユニークであるなと感じました。

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キャンパスの他の学部とは異なり、建物はモダンです。

“オックスフォード大学のビジネススクールは“educating leaders 800 years”というフレーズに代表されるように数世紀に渡る世界の最高学府オックスフォード大学の理念を継承し、さらに現代社会の諸問題解決に必要な実践手段へと昇華させている場所であり、Skoll Centre for Social Entrepreneurship(社会起業研究所)やThe Institute for Science, Innovation and Societyという社会問題研究所を備えるビジネススクールです。1年制のMBAコースであり1学年233名、平均勤続年数6年、国籍50カ国のインターナショナルなクラス構成。数々のグループワーク、講義、ケーススタディー、セミナー、試験、参考文献、プロジェクトワーク、、、インテンシブなコースの中で、世界中から集結したクラスメイトと切磋琢磨し、自分自身を見つめ直し、今後を設計し切り拓いていくために大変有意義な時間となることでしょう。”(Oxford MBA 日本語サイトより)

 

 

#Social Impact

はじめに書いたように、OxfordのビジネススクールはSocial Entrepreneurshipというテーマを強調しています。これは、Oxford大学自体がSocial Impact、社会に真に影響を与えられる人材の育成というのを掲げているため、その中にあるビジネススクールもそれを押しているということの様です。学内にSkoll Centre for Social Entrepreneurshipというソーシャルビジネスを押している機関もあるそう。在校生の中でも、単にお金を儲けるだけでなく何か社会に影響を及ぼせることを、というマインドを持った人は多く、選択科目の中でも”Social”の名がついた科目がちょこちょこあります(Financeが案外多い)。ただ、実際の進路状況を見ると、金融に行ってる人は多いです。これはやはり高い学費と生活費を使ってしまった以上回収せねば、という背景があるのと、やはりSocialセクターで初めから利益を生んでいくというのが難しいため本業を持ちながらサイドでやる人も多いんだとか。日本人ではココナラ南章行さんがオックスフォードのMBAの卒業生だそうです。

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#オックスフォードを出てもイギリス就職は難しい。

この旅に出る前は、ハーバードやオックスフォードなど、そういうところに行けば海外での就職という道がぱーっと開けるのでないかなぁという思いをぼんやり抱いてました。(ここでの海外就職とは、駐在員として日本から派遣されるというのではなく、現地企業での就職という意味です)けれど、現実はそう甘くもないみたい。これはハーバードでも言われたことですが、語学力や能力の他に、ビザというのが重くのしかかります。現地人がいるのに、なんでガイジン雇う必要あるの?ってことですね。特にイギリスでは最近これがかなり厳しくなってきていて、外国人として労働ビザや永住権の発給をとるというのは至難の業だそう。企業はビザが無いと雇ってくれないし、仕事が無いとビザは出ないという堂々巡り。そういえばラリア留学時代もそういう話をよく聞きましたが、ハーバードやオックスフォードといった大学を出てもそうなのかー。。と少し切なくなりました。グローバル化だとか、国を越えて仕事が、とかいうけれど実態はそれほど流動的でないのかなという印象。仕事の内容はクロスボーダーなんだろうけど、人が、特に長期間移動するというのは逆にバーチャル経由で実際に移動しなくても仕事出来てしまうがゆえむしろ難しくなってるのでは?とさえ思ったり。世界各地のMBA生も、初めは現地就職!と思っていてもビザの問題や就職活動の難しさから、結局日本に帰ってくる人も少ないくないようです。最近欧州各地で右翼政党(移民反対を打ち出していること多い)が勢力を伸ばしているのを見ても、人が母国以外で住んだり仕事をしたり、というのはやはり簡単なことじゃないんだなと感じます。この辺についてはまた改めて記事を書くかもです。

ただ、勿論無理ということはなく、例えばヨーロッパでMBAをとってベルリンのスタートアップで働いていたり、NYのヘッジファンドで働いたり、という方々もいらっしゃるので、強く願い努力すれば叶うものなのだろうな、と思っています。

 

 

今回はこんなところで!
こちらも参考にどうぞ。
オックスフォード大学。伝統と息苦しさと

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